■ ヒトラー~最期の12日間~
何よりも賞賛に値するのは、この作品がドイツで製作されたという事実だ。
敗戦から60年余りを経て、それでも戦争犯罪の過ちと残酷さを克明に描き切ろうというその姿勢に、心打たれる。
重厚。
作品そのものはとにかくその言葉しか思いつかない。
陥落間近のベルリン地下要塞で、ヒトラーと部下たちがどのように間違いを深めていったのかが詳細に記されている。
主役の俳優はアドルフ・ヒトラーに酷似しているが、外見の相違だけでなく、語り口や立ち振る舞いに至るまで独裁者のそれを見事に演じている。
時に滑稽に見えるヒトラーの傍若無人ぶりは、消耗し、ソ連の大軍に追い詰められて正気を失っていく彼の異常な心理状態を適切に表現し、見る者の恐怖を誘う。
製作に関わったすべての人々の本気が感じられる、骨太な良作だ。
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